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セダン車のみ法人経費に落とせる?

 

質問】セダン車のみ法人経費に落とせる?

 

自営業を営んでいて、今年中に法人化を考えています。法人化につき、少し気がかりなことがあります。ある書籍で「法人経営者が使う自動車のうち事業上損金として認められるのはセダン自動車だけである」、という記事を読みました。私はワンボックスカーを仕事に使っています。

 

私は、取引先への訪問、遠方への出張、そして商品の納品業務にワンボックスカーを使っています。セダンでは商品の納品ができないからです。この記事はスポーツタイプとセダンタイプとを比較し、セダンが経費となる理由に、取引先への訪問や得意先担当者等の送迎に適していること、仕事車として一般的であること、私的な流用に向いていないこと、などが述べてありました。

 

なるほどと思う箇所もあるのですが、この理由ならワンボックスカーでも大丈夫じゃないかと思います。事業を法人化した暁には、この車を法人が買い取る予定なのですが。

 

 

【回答】経済的合理性があり、かつ実際に事業供用しているならば、どんなタイプの自動車でも損金となります

 

似たような記事を私も読みましたが、明らかに説明不足で誤解を与える内容だったように記憶しています。自動車が法人の損金として認められるのは、その自動車使用に経済的合理性があるかどうか、実際に事業供用しているかどうか、ではないでしょうか。

 

 

 

経済的合理性

 

損金計上できる・できないは、法人がその自動車を利用する経済的合理性の有無に尽きるでしょう。例えば、接待で酒席への出席が多いためほぼ毎日タクシーで通勤している経営者が、コレクションとして法人名義で保有し自宅ガレージに眠っている国産高級セダン車について、おそらく損金計上は認められないでしょう。

 

反対に、自動車輸入販売会社が広告宣伝と来客者試乗用の目的で購入するイタリア製スポーツカーについて、その減価償却費等は問題なく法人の損金として認められるでしょう。

 

 

 

実際の事業供用

 

いくら経済的合理性が存在したとしても、実際に利用していなければ減価償却費は経費として認められないように思います。例えば日常業務すべてを営業車でこなし、社長専用車を家庭サービス用としのみ利用している場合、実態に照らすと減価償却費等の損金計上は難しいように思います。

 

 述の二点を検討しますと、お問い合わせのワンボックスカーに係る経費の損金算入は問題なく認められるでしょう。

 

 

①本文は平成28年5月30日時点で税法等及び判例を参考に記載しております。