【質問】タワマン節税はどうなのでしょうか
数年前の不動産投資セミナーでタワーマンション取得が相続税対策になると聞き、タワマン高層階を購入しました。タワマン高層階は、低い相続評価額による相続税節税ができ、相続後購入価格以上で売却できるケースが多数生じていて、2重のメリットがあるという説明でした。
ところが、先日新聞記事の「タワマン節税封じ」で、タワマン高層階取得による相続税節税防止策が取られたようです。節税目的のタワマン購入は無駄だったのでしょうか。
【回答】抜本的な節税封じに至っていませんが、将来的には厳格な防止策が予想されます
以前のような過熱状態ではないものの、都内一等地や大阪市内中心地でタワーマンション販売は依然好調なようです。立地の魅力のみならず、講演でお聞きされたように節税効果を有することも人気に寄与しているようです。また、タワーマンション高層階は、購入価格よりも高く転売できることもあり、2重にメリットがあるといわれます。数年前までは不動産投資セミナーが盛んに催され、タワーマンション購入メリットがPRされていました。
タワマン節税とは
タワーマンションの相続税評価額と実際の資産価値との乖離を利用した節税対策をメディアは「タワマン節税」と呼んでいます。例えば、大阪市内中心地タワーマンション高層階区分の取得価格が7000万円としますと、その固定資産税評価額はせいぜい3000万円前後でしょう。相続税の課税対象額が3000万円となります。相続開始時において、現金7000万円はもちろん7000万円評価ですが、この取得価格7000万円のマンション評価額は約3000万円です。この4000万円の乖離が税額を減少させます。
平成二十九年改正
目に余る節税に、国等は超高層マンションについて固定資産税評価額を補正して相続税評価額とする防止策をとりました。補正は、高さが60mを超える超高層構築物の区分所有される住戸、おおむね20階建て以上のマンションに適用されます。
とはいえ、その補正率は1階を100%とすると50階で113%程度と緩やかな防止策で、節税効果がいきなり消滅してしまうことはなさそうです。
今後の展望
平成29年改正の影響は緩やかでタワマン節税策は一定の効果を有していますが、私の個人的意見として節税目的のみでのタワマン高層階取得はお勧めしかねます。
といいますのも、このような節税はやはり国民に不公平感・納税不信を招いてしまいますので、国が根本的な対策を施してくる可能性が高いからです。実例として、被相続人が最期の床に臥しているときに被相続人がタワーマンション購入者となっていたケースについて、課税庁はマンション取得行為を否認しました。節税のみを追求したタワーマンション取得について今後厳格に対応してくるかもしれません(財産評価基本通達6項の適用)。
最後に、ご自分用が居住用として取得されるタワーマンションについては、当職から申し上げることは何もございません。
脚注:本文は、平成二十九年六月二十三日現在の税法等及び判例に基づいて作成されています。