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専従者給与の適正額

 

質問】妻に渡す専従者給与の適正額について

 

賃貸マンションを取得して不動産賃貸業を営むことになりました。妻に業務の一部を手伝ってもらっていて、専従者給与をどのくらい渡そうか悩んでおります。賃貸借契約の判断、トラブル対処や外注先の管理は私がおこない、確定申告も自分で済ませています。ちなみに、清掃や本格的なリフォームは外部委託しています。

 

 

 

妻の職務:経理処理、請求及び支払業務、電話の取次ぎ、賃貸物件の見回り(不動産賃貸業手伝いの専従)

 

勤務時間:1日2~3時間、1カ月で50時間程度

 

事業形態:個人事業・青色申告

 

従事者:私と妻の2名

 

規模:賃貸マンション10室、ガレージ5台

 

 

【回答】4.5万円から10万円程度ではないでしょうか

 

個人事業者が親族に支払う給与のことを「専従者給与」と呼び、通常の給料とは異なる取り扱いをします。

 

①青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族(1231日現在15歳以上)であること

 

②青色専従者控給与の届出書を提出していること

 

③労働の対価として相当な額であること

 

④年間を通じ6カ月超の期間、その事業に専ら従事していること

 

ご質問者の奥様は①、④を満たしておられますので、②の青色専従者給与届出書を提出期限までに所轄税務署へ提出してください。③については後述いたします。

 

 

 

大切な適用要件がもう一つあります。それは、不動産賃貸業について青色専従者給与が適用できるかどうかは、社会通念上事業と称する規模かどうか、が重要です

 

国税庁は、事業と称する規模を次のように規定しています。

 

⑤アパート等について、貸与できる独立した室数が概ね10室以上であること

 

⑥独立家屋の貸付については、概ね5棟以上であること(尚、ガレージの貸付は5件で1室と換算判定する)

 

ご質問者の事業規模は、マンション8室+ガレージ(20台÷5=4室)で、合計12室となり、⑤の水準以上ですので青色専従者給与の適用を受けることができます。

 

 

 

適正額を斟酌するにあたっては、次の要素を検討します。

 

❶労務に従事する期間、職務の性質と程度

 

❷同種同規模事業に従事する者の給与状況

 

❸職種・規模、収益状況に照らした合理性

 

奥様の業務は、経営の意思決定に関わられておらず、比較的軽作業や事務作業であり、一般的な事務員の月給や時給に換算した金額が適正であるように思います。

 

フルで働く正社員給与が20~30万円程度として、奥様の就業時間はその3分の1程度であり、7~10万円程度でしょう。パート従業員の時給を900円~1,300円程度と考えるなら、4.5万円~6.5万円程度でしょう。あくまで私見となりますが、青色専従者給与届出書に月額給与額を10万円前後と記載し、実際の労働時間と職務に応じた計算せんをお勧めします。

 

尚、毎月の収入から奥様に渡される生活費について、当職の関知するところではございません。ご自由な金額をお渡しください。

 

 

 

脚注

 

平成29124日の税法等に基づいて作成しております。

 

国税庁ウェブサイト>タックスアンサー>所得税>アパートや貸家の賃借収入のある人>№1373参照